近年、住宅の高気密・断熱化により、雨水が侵入しても壁の中で留まり、室内からはすぐに雨漏りを発見しにくい構造になっています。目に見えるところに被害が出てくる頃には、目に入らない裏側はもっと症状が進行している可能性が高いのです。台風や風が強い日にしか雨漏りしない場合であっても、室内に雨漏りとして現れないだけで、通常の雨でも雨水が内部へ浸入し壁内の木材や断熱材等が吸水・含水しているケースが多々あります。

風邪薬の『効いたよね、早めのパブロン』ではありませんが、雨漏りや水漏れなど建物の異変に気付いたら、お早めに対処いたしましょう。先項でも述べましたが、発見・対処が早いほど、被害や補修費用も少なく済みます。

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なぜ木材がボロボロになるの?

長期の雨漏りによって木材が、高温多湿の状態(湿度85%以上、木材含水率が20%以上、温度は20℃~30℃など)が続くと、『木材腐朽菌』と呼ばれる細菌が繁殖します。この木材腐朽菌が、木材基質を分解することにより、木材がボロボロになります。

木材腐朽菌の前に、まず先にカビが発生するので、カビを発見したら腐朽の一歩手前と考えて、湿気除去等の対策をしましょう。カビは木材腐朽菌のように、木材基質を分解することはありませんが、アレルギーや喘息など人体への悪影響を及ぼす可能性があります。

雨漏りだけでなく、室内の『結露』や湿気もカビの発生する原因であり、建物と人間の健康のためにも適度な換気が必要です。

ベランダ不具合箇所

褐色腐朽菌



シロアリと雨漏りの関係

木材腐朽菌類によって、木材の主成分が分解されます。その分解生成物であるセルロース等には、シロアリの誘引作用があり、木材の腐朽している部分は、シロアリの被害も受ける可能性が高くなってしまうのです。

腐朽の発生や進行は木材の湿潤状態に大きく左右されます。一般的に日が当たらない場所や通風の悪い部位では、一度木材が濡れると乾燥し難いので腐朽の危険性が高くなります。
立地条件や地震等の外的要因によって、建物の劣化過程は多様に変化します。定期的にお住まいの点検をすることで、早期に異常を発見できるかもしれません。雨漏りからはじまるカビや木材腐朽菌などの二次被害を防ぎましょう。


鉄筋コンクリートのひび割れ、爆裂

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夏の日中はコンクリート壁の表面温度は50℃以上になり体積が膨張し、気温の下がる夜には表面温度も下がり収縮します。この気温の変化によってコンクリート表面に徐々にひび割れが生じ、その繰り返しによって徐々にひび割れが深くなってしまうのです。

コンクリートに包まれている鉄筋が表面のひび割れ等から浸透した雨水や空気に触れると、酸化(発錆)し腐食が始まります。腐食した鉄筋の体積は3倍にもなるのです。鉄筋の腐食する過程で徐々に体積が膨張するのですが、鉄筋が膨張する時に鉄筋の周りのコンクリートを押し広げる力が働きます。

この力によって内部からもひび割れが進み、力のおよんだ部分のコンクリートやモルタルが塊りとなって落下し、思わぬ事故の原因にもなり得るので、ひび割れはお早目の対処をおすすめいたします。コンクリート造の外壁で錆汁のような物があるようでしたらとくに注意しましょう。また、建物の建設時における施工不良で新築当初は隠れているコンクリートの被り不足箇所が、中性化と水分の浸入によって爆裂という現象になって表面に現れるケースも多々あります。


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