ウレタンゴム系塗膜防水

ウレタンゴム系塗膜防水(以下、「ウレタン塗膜防水」といいます)の施工方法は、通気緩衝工法(Xー1工法・絶縁仕様)と密着工法(X-2工法・密着仕様)があります。複雑な形状でも施工が容易で、連続一体化した防水層が形成できるメリットがあります。

ウレタン塗膜防水は、現場で液状の防水材料を下地に塗布して作り上げるため、施工の良否が耐久性に大きな影響を及ぼします。膜厚が薄い部分は、建物の伸縮から発生した下地の挙動に追従できずに破断する恐れがあります。また、紫外線や熱の影響によって早期に劣化が生じる傾向があるため、厚みの確保が非常に重要です。

ウレタン塗膜防水と下地のひび割れ

ひび割れ

トップコートや塗膜防水材の消失

塗膜の劣化・消失

ウレタン塗膜防水層の局所的なふくれ

防水層のふくれ

施工事例1

施工前

既存:ウレタン塗膜防水
(密着工法)

施工後

目地打ち換え、交差部脱気装置付
(高反射トップコート) 


施工事例2

施工前

既存:塗膜防水
(通気緩衝工法)

施工後

ウレタン塗膜防水通気緩衝工法
(端部アンカー固定) 


施工事例3

施工前

既存:アスファルト防水
(砂付きルーフィング仕上げ)

施工後

砂付きアスファルト改修工法
(高反射トップコート) 


施工事例4

施工前

既存:合成ゴム系シート防水
(接着工法)

施工後

立上り撤去、端部アングル固定
(ウレタン塗膜防水密着工法) 

ライフサイクルコスト

ウレタン防水層を長持ちさせるために定期的なメンテナンスが大切です。標準的な例として、国土交通省X-1工法のケースを考えます。 5年程度毎に最上層の保護仕上げ塗料(トップコート)を再塗布していますと、15年程度の耐久性(防水性能の保持)が期待できるでしょう。

脱気絶縁機能が前提ですので防水層にはふくれ、破断がない状態であるはずです。したがって、10~15年目の改修時には既存防水層の撤去や下地処理などの手間がかからず、ウレタン防水材の再塗布(2~3kg/㎡の増し塗り)のみで済みます。

このことは、省力化が可能で工期を大幅に短縮でき、コストの点でも全面撤去に比べ1/2ないし1/3のコストで抑えられるのです。改修時に撤去した廃材が出ないということは、処分費用の削減、資源有効利用の観点からも大いに評価されるでしょう。

また、2025年現在では特定化学物質障害予防規則(特化則)非該当・特定化学物質無配合のウレタン防水材が主流となっています。特定化学物質無配合のウレタン防水材を使用することで、作業者の安全衛生の確保や建物使用者の健康被害への不安を取り除けるのです。

以上の点からウレタン塗膜防水は10~15年目の改修時において、ライフサイクルコストの削減に貢献できる工法といえるでしょう。