ウレタンゴム系塗膜防水(ウレタン防水)は、液体状のウレタン樹脂を塗り付けて、塗布した材料が化学反応して固まる(硬化する)と、ゴム状で弾性がありシームレスな防水膜が出来上がります。液体状の材料を使って現場で仕上げる工法なので、複雑な形状をした場所でも継ぎ目のない完全な防水膜を形成できるのが特徴です。

また、緩衝シートやFRPなど他の防水材料との複合防水工法は、性能面・意匠面でも豊富なバリエーションと信頼性の高さから、一般の屋上から屋上をテニスコートに、またマンションの開放廊下・階段室、ベランダ・ルーフバルコニーなど様々な用途に対応出来ます。

屋上ウレタン防水

屋上・陸屋根

ルーフバルコニー

ルーフバルコニー

ベランダ

ベランダ

塔屋

搭屋・ペントハウス


耐久性と改修方法は?

ウレタン塗膜防水には通気緩衝工法(X-1工法・絶縁仕様)と密着工法(x-2工法・密着仕様)がありますが、耐久性は防水仕様(防水層の厚さなど)、メンテナンスの良否、屋上の使用状況などによって異なります。

標準的な例として、国土交通省X‐1仕様のケースを考えます。5年程度毎に最上層の保護仕上げ塗料(トップコート)を再塗布していますと、15年程度の耐久性(防水性能の保持)が期待できるでしょう。

脱気絶縁機能が前提ですので防水層にはフクレ、破断がない状態であるはずです。したがって、10~15年目の改修時には既存防水層の撤去や下地処理などの手間がかからずウレタン防水材の再塗布(2~3kg/㎡の増し塗り)のみで済みます。

このことは、改修工事としては大変簡単な工事であり工期を大幅に短縮でき、コストの点でも全面改修に比べ1/2ないし1/3のコストで抑えられるのです。改修時に撤去した廃材が出ないということは環境保全、処分費用の削減、資源有効利用の観点からも大いに評価されるでしょう。

また、2020年現在では特定化学物質無配合のウレタン防水材が主流となりつつあります。特定化学物質無配合のウレタン防水材を使用することで、作業者の安全衛生の確保や建物使用者の健康被害への不安を取り除けるのです。以上の点からウレタン塗膜防水は10~15年目の改修時においても非常にメリットの大きい工法であると言えます。


ウレタン防水層を長持ちさせるために大切なこと

定期的なメンテナンスが肝心なのは言うまでもありませんが、それ以前にウレタン防水施工時の塗膜厚の管理がとても重要です。

ウレタン塗膜防水の膜厚が薄い部分は、紫外線や熱により早期劣化が生じます。
また、地震や気温の変化による建物の伸縮から発生した下地の挙動に追従できずに、破れ・亀裂の原因となるのです。

ペンキを塗るような薄っぺらい施工では長持ちしません。しかし、一度で極度に膜厚をつけようとすると密着不良やピンホールなど塗膜の欠陥原因となります。所定の材料塗布量と工程数を守り、平滑な下地になおかつ均等に塗布することが大切です。

立上り部の剥がれ・劣化

隅角部の破断・亀裂



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